保育園倒産過去最多ペース
帝国データバンクから衝撃的なデータが発表されました。2025年上半期、保育園運営事業者の倒産・廃業件数が22件と前年同期比7割増となり、通年で過去最多を更新する可能性が高まっています。しかし、これは私立幼稚園・こども園経営者にとって決して他人事ではありません。
保育園倒産の3つの要因
1. 供給過多による競争激化
待機児童問題解消により施設数が急増し、9割近い自治体で待機児童ゼロを達成しました。しかし、少子化と相まって園児獲得競争が激化し、定員割れに苦しむ園が急増しています。
2. 人材確保の深刻化
保育士の「なり手不足」が年々深刻化し、適切な人員配置困難により定員制限を余儀なくされるケースが続出。離職防止のための給与引き上げがコスト圧迫の要因となっています。
3.運営コストの増大
食材価格高騰による給食費増加、人件費上昇圧力、そして内部留保が薄い事業者の経営体力不足が重なり、経営を圧迫している状況です。
危険信号の早期発見チェック
帝国データバンクの調査によると、保育園運営事業者の実に54.3%が「業績悪化」(赤字・減益)に陥っています。あなたの園は大丈夫でしょうか?
【緊急チェックポイント】
☐園児数の減少傾向はないか?
☐教職員の離職率は高くないか?
☐運営コストは適切に管理されているか?
☐競合他園との差別化は図れているか?
☐地域の出生数推移を把握しているか?
私立幼稚園が今すぐ取るべき3つの対策
【戦略1】差別化による付加価値創造
英語・音楽・スポーツなどの専門プログラム導入、発達障害児支援などの専門性強化、独自の教育理念に基づく特色づくりが急務です。保育園が苦戦する教育分野こそ、幼稚園の真骨頂を発揮する場面です。
【戦略2】認定こども園への移行検討
給付加算の対象となる制度的優位性、0歳児から就学前までの一貫した教育・保育、保護者の働き方に関わらない受け入れ体制の構築により、経営基盤の安定化を図れます。
【戦略3】関連分野への事業展開
学童保育、習い事教室、子育て支援センター、高齢者向けサービス(多世代交流)など、園の施設と人材を活用した多角的事業展開で収入源の多様化を図ることが重要です。
生き残りの4つのカギ
1.早期の戦略転換
従来の経営スタイルからの脱却を図り、変化する保護者ニーズに対応した運営体制への転換が不可欠です。
2.地域密着型サービス
地域ニーズに応じた独自サービスの提供により、地域になくてはならない存在としてのポジションを確立します。
3.人材育成への投資
職員のスキルアップと定着率向上により、サービス品質の向上と運営の安定化を同時に実現します。
4.財務基盤の強化
内部留保の充実と資金調達力向上により、環境変化に耐えうる経営体力を構築します。
チャンスへの転換点
保育業界の淘汰は、実は私立幼稚園・こども園にとって大きなチャンスでもあります。保育園が苦戦している教育分野で、教育に強みを持つ幼稚園が差別化を図れる余地が生まれているのです。
重要なのは、今すぐ行動を起こすことです。競合が増え、淘汰がさらに進む前に、あなたの園独自の価値を確立し、地域の子育てインフラとして不可欠な存在になることが生存戦略の要となります。
結論 「危機の中にこそ、真の機会が眠る」