離職の対策

公開日: 2022年11月14日

こんにちは、安堂達也です。

ここにきて、「また今年限りで辞めさせてください」にお悩みの園長先生の
声が私のところに届き始めました。

今日は離職の対策について考えます。

「離職」問題を「労働者」と「労働環境」を軸に考える

「労働者」は労働契約のもとに「入社(入職)」し、定年または中途で「退職(離職)」するものでします。なので、職員が辞めていくこと自体は、「普通」のこと。

しかし、「離職」に対策が必要になるのは、

「新人が3年以内に辞めてしまう」
「毎年、新人の離職がある」
「ときどきは、一気に同期の数人が辞めてしまう」


というものです。

そこでまず、「普通」ではない離職を整理しましょう。

この議論では、「普通」の離職
・「定年退職」 
・「転居(配偶者の転勤など)」 
・「出産(休職せず退職希望)」
を想定し、

・「結婚(遠方への転居がないもの)」 
・「別業種への転職」 
・「長期旅行(自分探し含む)」等
を理由とする退職希望を、「普通ではない」離職に入れたいと考えます。

結婚しても勤務継続可能な就業形態にできなければ、今後の職員の安定維持はできない時代ですし、「別業種を経験してみたい」「〇〇になるのが夢だった」「リフレッシュしたい」は、現状の仕事に楽しめる要素がないから離職を選択してしまうもの、と仮定したうえで議論を進めます。

◆「離職」問題を「労働者」を軸に考えた場合には、

・思考の不一致
・能力の不一致
・性格の不一致


「労働環境」を軸に考えた場合には、
・教育環境の不備
・指導者(先輩)のハラスメント


が要因として考えられます。
少し説明します。

「離職が多い」、「離職が続いてしまう」、という職場には、一定の共通項があります。
そしてそれは、「教職員本人側の問題」として考えるべきものと、「職場側の課題」として考えるべきものがあります。

「教職員本人側の問題」として考えるもの

・思考の不一致
※本人の求めていた教育方針と入職した園の方針に乖離がある
※重要性の優先順位に乖離があるという解釈がある(「自分は子供を第一に考えたい、園は保護者受けばかり気にしている」と本人が思い込んでいる) など

・能力の不一致
※学園に要求される能力まで本人の能力が追い付いていない(能力不足、覚えが遅い)

・性格の不一致
※学園が求める態度で行動できない(勤務態度が悪い・指導を受ける態度が悪い・指導を受け入れない など)

以上を3大要因としてあげることができ、


思考と能力の不一致は、学園側の「教育環境」によって回避できる可能性があります。
また、性格の不一致は、採用面接時の性格検査と検査結果を踏まえた深堀の質問によって採用を回避できる可能性が高いです。

「職場側の課題(労働環境)」として考えるもの

・教育環境の不備
これはほぼ全国の幼稚園保育園が直面している問題であり、人材育成の仕組が完備されている園を探すほうが大変なくらいです。
ここには、教育係メンターの存在や、キャリアパス業務マニュアルの整備、人事評価制度評価連動型賃金表の整備などを含んでいます。
日ごろから、学園の方針や教育指導を行うことができていれば、入職時点で能力が開花していなくても、時間の経過とともに学びを経験にして戦力化できます

いらぬ誤解や不満も回避・解消できるのです。

・指導態度のハラスメント
実は新人3年目までの離職者の離職理由上位に上がる「人間関係」とは、直接かかわる上司(先輩)との関係が多く、それはほとんど先輩側のハラスメントです。
※若手側の能力不足が先輩のハラスメントを誘発するということは大いにあります。
この際に、クラス担任(先輩)と補助(新人)や、学年主任(先輩)とクラス担任(新人)の関係が目立ちますが、現場リーダーである教務主任や園長先生のハラスメントが要因としてあげられることも少なくありません。
※直接ハラスメントを若手が受けなくても、上位幹部(園長と主任など)同志が日常的にけんか腰で叱咤されていたり、口論していたりという場面が目立つ職場も、職員の離職要因になりえます。

この学園側(使用者側)の問題について
「問題」として表面化するのは、「離職を想定していなかった教職員が抜けてしまうこと」や「想定外の複数人の離職」ということになり、この際に経営者は対応に困惑します。

学園において、こうした課題を解決するためには、
1.自園の離職要因は何であるかを把握するノウハウを持つこと
2.離職の主要な要因の一つである身近なハラスメントを認識し改められること
3.労働環境整備の観点からの見直しポイントを理解し改善を進められること
4.利己主義と責任転嫁の職場文化を改め同僚性を高めること
5.離職を希望した職員の真意を傾聴し慰留に努めるノウハウを学ぶこと


が大切です。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

先生の園に、いつも明るい笑い声がたえませんように



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メルマガ文責(C)安堂達也 

株式会社安堂プランニング 代表取締役・幼稚園経営コンサルタント
幼稚園☆元気塾 主宰・幼稚園研修.com 運営代表・保育研修プロデューサー
キャリアコンサルタント・認定心理士・TA心理カウンセラー・メンタルアップマネージャー
主な著書に「園児を集める49のヒント」「連絡帳の書き方ハンドブック」民衆社刊

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