規則の文例
こんにちは、安堂達也です。
それでは、前回の続きである就業規則の服務規定に入れたい項目シリーズ『労働者の義務』。
いよいよ最終回です。
服務規程に定めるべき従業員の義務とは
- 1.労働時間中の義務
- 2.会社施設内における義務
- 3.会社内外における義務
- 4.会社外における義務
です。
4.会社(職場)外における労働者の義務
最後の『会社(職場)外における労働者の義務』は、2つあります。
・競業避止義務 ・兼業禁止義務
の2つです。
「競業避止義務」とは、園の経営と競合するような取引を他社(他園)と行わない義務のことです。
つまり、「在職中の会社と事業内容が重複・競合する会社に就職したり、または競合する会社を自ら立ち上げて設立するなどしたり、現在勤めている事業所の競業行為を行ってはならない」ということです。ここにはまた、「競業会社を自ら立ち上げた上、同僚や部下を引き抜く行為」や、「従前会社の顧客を引き抜く行為」も広い意味で含まれます。
一般的に、在職中は労働契約における付随的義務として競業避止義務を負うと考えられています。
一方で、退職後の場合は、退職者の職業選択の自由の観点から競業禁止義務は原則生じないとされています。
ですので、使用者が退職後の労働者にも競業避止義務を課す場合には、就業規則や個別契約などにおいて必要かつ合理的な範囲で法的根拠を明示する必要があります。
就業規則に盛り込む際の文例としては、
・学園の許可なく、同業他社に就業し、または自ら学園の業務と競争になる競業行為を 行わないこと。
・学園の許可なく、学園の施設内で組合活動、政治活動、宗教活動等、業務に関係のない 活動は行わないこと。また、施設外においても教職員の地位を利用して、園で働いている 者および取引先等の関係者に対して同様の行為を行わないこと。
・学園内の教職員を、他の職場に転職を仲介することや引き抜き行為を行わないこと。 などとなります。
「兼業禁止義務」とは、会社の許可を得ずに自社以外の会社に雇われない義務のことです。
就業規則に盛り込む際の文例としては、
・学園の許可なく、在籍のまま他の学園等の業務に従事し、または個人的な事業を営まない こと。などとなります。
実際の就業の現場では、幼稚園教諭の(許可のない)副業はほとんどの園で禁止されています。 禁止を破る事例は、たびたび私の耳にも入ってきており、この3月中にも、ガールズバーに 同じ園から2名が継続勤務していたことが発覚して騒動となった事例もありますが、学園として就業態度不良の職員を解雇する場合には、あらかじめ禁止行為を伝えておくことが必要ですが、多くの学園では就業規則はぶら下げておくだけで、読み合わせしたり、解説したりということを「避けて」いるように見えます。余計な権利を知ってほしくないという経営者側の心理かもしれませんが、お互いに納得したうえで長く勤務して頂くためには、不都合なものを隠すのではなく、オープンにしたうえで正しく労使の契約に則って働いていただけるようにする必要があります。
しかし、この「兼業」を許可できる利点も、経営者にとってないわけではありません。それは、幼稚園とは別に「小規模保育事業」を経営者が立ち上げたときに、幼稚園の先生に勤務後や土曜日などの預かり保育に入っていただくなどの融通が利くということです。
就業規則を正しく運用しながら労使間の信頼関係を深め、より良い保育に寄与して頂けたらと願うばかりです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
今週も、笑顔で仲間と働き合えますように♪
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文責(C)安堂達也
株式会社安堂プランニング 代表取締役・幼稚園経営コンサルタント
幼稚園☆元気塾 主宰・幼稚園研修.com 運営代表・保育研修プロデューサー
キャリアコンサルタント・認定心理士・TA心理カウンセラー・メンタルアップマネージャー
主な著書に「園児を集める49のヒント」「連絡帳の書き方ハンドブック」民衆社刊